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1 夫婦の一方が医師の場合の財産分与
医師であっても基本的には、婚姻期間中の財産を対象として財産分与をすることは変わりありません。
もっとも、医師は一般的に収入が高く、財産分与額が高額となったり、所有している物が多いと物の価値を評価する点で争いがおこりやすくなります。
また、夫婦の一方又は双方が医療法人への出資している場合、その持分の財産分与についても問題になります。
2 財産の調査が必要
財産分与はまず、話し合いで解決するのが原則ですが、相手配偶者がどのような財産を持っているかはわからないこともあります。特に夫婦間のパワーバランスから夫が持っている財産を開示しないことも考えられます。
このような場合には、把握できる財産については開示を求め、「リストに載せていない財産がある場合には、別途協議する」などの文章を離婚協議書などの入れておくといいでしょう。
なお、財産分与が請求できる期間は離婚後2年以内となっています(法改正により今後離婚後5年になる予定です)。
財産を隠したまま財産分与が行われた場合、この期間を過ぎるとどうなるか問題になりますが、損害賠償として請求できる可能性は残ります。
3 医療法人の持分の財産分与
医療法人を医師である一方が出資して設立している場合、その持分について財産分与の対象になる可能性があります。この場合、その金額の評価も問題になりますし、多額になるケースがあります。
詳しい検討が必要になるケースもありますので弁護士に相談することをお勧めします。
4 寄与割合
財産分与の割合は、通常は、半分ずつです。しかし、財産形成の寄与割合を考慮して割合が変えられる場合もあります。
医師については、結婚前の努力などを考慮して財産形成の寄与割合を6:4に判断されたケースもあります。
5 弁護士への相談
財産分与についてお悩みの方は一度弁護士にご相談ください。財産分与を含め離婚についての法律的なことは、わからないことが多いと思います。わからないことを把握して対応していくのが弁護士の仕事です。
ご相談で解決できるケースもありますし、弁護士がついたほうがいいケースもあります。
例えば、相手の主張が一つだけで今わかっているものなら相談だけでも対応できる可能性が高いと言えます。
しかし、財産分与について実際にやりとりをしていけば、わからない問題は次々に出てきます。
調停や訴訟の場で突然聞かれることもありますが、弁護士がいれば適切に対応できます。
弁護士が必要かどうかも含めて一度ご相談ください。
6 当事務所で扱ったケース
30年程度結婚していたが、子供も独立し、離婚したいという女性が相談に来られました。夫は、妻に対して「お前はわかっとらん」などの発言を繰り返しており、弁護士から受任の連絡をした際にも娘さんに「あいつはバカだ」と言っていたのを聞きました。
弁護士から離婚調停を申立て、婚姻費用を請求し(別居していたため結婚期間中の生活費の負担)、財産分与も請求しました。
住宅ローンのある自宅をどうするか、確定拠出年金の評価、退職金に対する開示を求めるなどいくつかの問題点について話し合い、最終的に調停が成立して離婚になりました。
ご本人で対応すると、退職金などの請求漏れということもありますし(このケースでは退職金が多額で退職時期も近いケースでした)、住宅ローンのある自宅や確定拠出年金の評価などなかなか難しい問題が多いと思います。お困りの際には弁護士に相談してください。
お電話、LINE、メール、いずれでもけっこうです。ご連絡ください。
日時を調整して相談していただきます。