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1 ダブル不倫で慰謝料を請求された場合
不倫した人がどちらも既婚者の場合(いわゆるダブル不倫)で、慰謝料を請求されたときは、こちら(請求された人)の夫・妻(以下では「パートナー」と言います)がどうするかを検討する必要があります。
パートナーが不倫を知らない場合には、知らせるべきかどうかという問題があります。
また、パートナーが、不倫を知っている場合、パートナーから自分の不倫相手への慰謝料請求も考えられますので、その点も一緒に検討していくことが必要です。
2 パートナーが不倫を知らない場合
パートナーが不倫を知らない場合には、そのまま知られずに解決を希望される方が多いので、知られないように示談していくのが通常です。示談する際には、口外禁止条項(他の人に喋らないという約束)を入れるよう交渉していくことが考えられます。
もっとも、このような条項を入れてほしい、というのは相手が感情的になっていることもあり、当事者間での話が難しいと思われます。そのため、早めに弁護士が入って話をすることが有効です。
3 パートナーが不倫を知っている場合
この場合には、パートナーから不倫相手への慰謝料請求も考えられ、ゼロ和解の提案をすることも考えられます。ゼロ和解というのはどちらもお金を支払わないで示談することです。
これは、不倫をした当事者がそれぞれ不倫相手のパートナーに慰謝料を支払っても、夫婦単位でみるとお金が回るだけになってしまうからです。
もっとも、どちらかの夫婦が離婚するなどして、「パートナーに請求してもらってもかまわない」ということであれば、ゼロ和解は難しくなります。
4 放置することの危険
不倫の慰謝料請求を放置すると、次は裁判になる可能性があります。また、不倫をされた側は感情的になっていますので、自宅や職場に来るケースもあります。
上述のとおり、感情的になっている請求者と、自分に非がある不倫をした人とでは、冷静に話し合いをすることが困難です。言いなりになってサインさせられるケースもよくあります。
不倫の慰謝料を請求された場合は、相手と連絡をする前に弁護士に相談していただくことをおすすめします。
5 弁護士に依頼した場合
弁護士が依頼を受けた場合、弁護士が相手と話し合いますので以降直接やり取りしていただく必要がなくなります。
まずは相手方に弁護士が受任したことを連絡します。この中には、「代理人になったので今後連絡はすべて弁護士宛にしてください」という内容を記載します。
その上で、相手方に適切な金額について説明したり、様々な事情から減額の交渉を行っていきます。最終的に話がまとまれば示談書を作成し、お金を支払って解決します。
もし、相手が納得せず、裁判をしてくる場合でも弁護士なら裁判にも対応していくことが可能です。
6 事例
(1)ダブル不倫でゼロ和解した事例
双方既婚者の不倫で、不倫した男性の妻から300万円の慰謝料請求があったケースです。相談者の女性は、困り果てており、当事務所に相談に来られた時点で、すでにご主人に不倫のことを話していました。
そのため、夫も含めて4者でのゼロ和解を提案しました(不倫をされた側が双方とも慰謝料の請求をしないという契約)。双方の夫婦とも離婚する意思は無く、ゼロ和解に合意して示談書を作成して終了しました。
(2)パートナーに知られず示談した事例
双方既婚者の不倫で、不倫した男性から相談がありました。慰謝料の請求書が届いており、絶対に奥さんに知られたくないという方でした。
相手方との交渉で、金額や求償権について説明し、減額に応じてもらった上、口外禁止条項を入れて示談しました。
ダブル不倫の場合、請求者も相手側のパートナーに知られたくないという場合もよくあります。これは、知られると請求者のパートナーも同じ請求をされてしまうためです。
場合によりますが、こちら側のパートナーに知られないように配慮することで穏便に解決できる場合もあります。