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1 不倫慰謝料の消滅時効
愛人側に対する不倫の慰謝料の請求権の消滅時効は3年です。これは不倫があったことと請求する相手が誰かがわかったときからスタートします。パートナーの10年前の不倫を今日知った、という場合でも請求できます。
また、不倫が発覚したが、パートナーが相手の情報を話さないので相手が分からなかった。しかし、5年経って不倫相手の情報がわかった、という場合でも消滅時効にかからず慰謝料請求をすることができます。
なお、不倫をした配偶者に対する慰謝料請求も3年の消滅時効ですが、夫婦の場合には「婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は」時効が完成しません(民法159条)。したがって、数十年前の不倫でも離婚していなければ慰謝料を請求できます。
2 消滅時効の影響
当然ですが、消滅時効がありますので、不倫の慰謝料請求を考えている方は早く請求したほうがいいです。消滅時効を止めるためには、裁判を起こしたりするなど一定の手続きが必要です。
ぎりぎりになって請求しようとしても間に合わず消滅時効にかかってしまうということも考えられます。
請求を考えている方はお早めに弁護士にご相談ください。
3 弁護士に相談するメリット
不倫の慰謝料について、弁護士は消滅時効期間を止めるために必要な手を打つことができます。時効が迫っているケースであれば、とりあえず請求(催告)をして時効を一時止め(猶予)、交渉しながら裁判を準備するなどの方法をとることができます。
不倫の慰謝料請求で時効が心配な方はお気軽に一度ご相談ください。
4 請求を放置すると
不倫の慰謝料請求は、しようかどうしようか迷っているうちに消滅時効になってしまうことがあります。時効期間が経過した後に相手から消滅時効を主張されると請求はできません。
5 当事務所で扱ったケース
脚色しております。
⑴ 裁判を起こしてから消滅時効を主張されたケース
3年ほど前に不倫が発覚し、離婚していた男性が相談に来られました。
相手の所在がわからなかったが携帯番号を知っているのでそこから相手の情報を得て請求できないか、ということで弁護士会照会(弁護士会から照会を書ける制度です)を使って、携帯電話の契約情報を確認しました。
相手の住所などが分かりましたので、裁判を起こしました。不倫の発覚からは3年以上が過ぎていましたが、相手の情報は最近になってわかったので消滅時効は完成していないと考えていました。
しかし、相手の男性は「不倫が発覚して数日後に呼び出されて話し合いをした。だからそのときには自分の情報は知っていたはずだ」「消滅時効が完成している」と主張しました。相談者の方に聞いたところ、「確かに呼び出して話をした。忘れていた」ということでした。
消滅時効が完成しているかどうかが争いになり、こちらは住所がわからなかったのでまだ完成していないと主張しました。
最終的には、一定の金額を支払うということで裁判の中で和解して終わりました。
数年前のことだと記憶が薄れてよく覚えていないということもあります。やはり、請求するのであれば早めにする方がいいと思います。
⑵ 消滅時効直前まで悩まれて訴訟提起したケース
相談者の女性は、夫の不倫が発覚し、相手女性にすぐ慰謝料を請求しましたが、相手は「お金がない」など言って支払いませんでした。
それから3年近く経ち、消滅時効成立の直前になって当事務所に相談に来られました。「裁判をするどうか迷っている」ということでした。法的なアドバイスなどをした上、最終的には「裁判をしたい」ということで決断され、依頼を受けて裁判を起こしました。
裁判をするのは心理的なハードルがあると思います。時間もかかりますし、場合によっては裁判所に来てもらって話してもらう場合もあります。
しかし、不倫した相手をそのままにしておくというのもお気持ちの上で悔しいものがあると思います。最終的にはご本人の判断になりますが、請求するのであればお早めに弁護士にご相談ください。