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1 熟年者の財産分与
熟年者の場合の財産分与も基本的に結婚していた間に得た財産を2分の1で分けるということになります。
もっとも、熟年者の財産分与の場合に注意すべき点もあります。
2 退職金
相手に将来もらう退職金がある場合にはきちんと確認して財産分与するよう主張することが必要です。退職している場合にはすでに資産となっていると思いますので現預金などを確認して財産分与上主張することが必要です。
退職金については、もらえるかどうかの確実性の問題から財産分与の対象とならないことも考えられますが、熟年者の場合には退職金をもらうまでの時間が短いケースが多いと思いますので、きちんと主張しておきましょう。
3 年金分割
離婚すると厚生年金も分割請求することができます。結婚期間が長く、相手方の厚生年金が多い場合などは将来もらえる年金額に大きな差が出ます。忘れずに請求しておきましょう。
4 自宅不動産
持ち家がある場合には、それをどう財産分与するか問題になります。住宅ローンが残っている場合には、ローンをどうするかも相まって問題は複雑になります。財産分与の方法にお困りの際には弁護士にご相談ください。
5 保険の解約返戻金
生命保険などの解約返戻金も財産分与の対象になります。加入期間が長いと解約返戻金も大きくなっている可能性があります。これも確認して請求するようにしましょう。
6 株式など投資商品
株などの投資商品があればこれも財産分与の対象になります。証券口座があるのであれば開示してもらって請求するようにしましょう。
7 その他把握できない財産
調停や裁判になっても、相手が財産を隠していると事実上財産分与の対象とできないことがあります。相手にどのような財産があるのかは、離婚する前に確認できるのであればできるだけ確認しておきましょう。
確認しておけば、相手が隠していても「〇〇証券に口座があるはず」などと主張することができます。
8 弁護士へご相談ください
財産分与は、わかりにくい問題も多く、結婚期間が長ければ対象の財産も大きくなることがあります。離婚後の人生を考える上でもきちんとした財産分与を受けておくことが重要です。
離婚を考えている場合には一度弁護士にご相談していただきアドバイスを受けてください。
9 Q&A
将来もらう退職金が財産分与の対象となるかは場合によって判断されます。現時点で退職した場合の金額を基準に結婚期間を考慮して請求することも考えられます。
まずは話し合いで解決できるか交渉することになります。相手側が承諾すればいいのですが、承諾してくれなければ財産分与上こちらが定額を支払うことで交渉することも考えられます。
また、住宅ローンが残っている場合などはさらに問題が複雑になります。
夫婦で結婚中に支払った厚生年金を半分ずつにするものです。男性側が厚生年金を多く払っていることが多く、女性側は年金分割も請求しておかないと将来もらえる年金額が不利になる可能性があります。
原則として結婚前に持っていた財産は特有財産といって財産分与の対象にはなりません。もっとも結婚期間が長いと、預貯金などは結婚前のもの結婚後の物が混じり合っていて特有財産の判断が難しいこともあります。